川越グリーンクロス閉鎖の真相と現在|渡し舟の名門が水没した理由

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順風満帆に見えた名門コースの運命を一変させたのは、2019年10月12日に関東甲信・東北地方を襲った台風19号(令和元年東日本台風)でした。記録的な豪雨により荒川の水位は観測史上最高レベルに達し、川越グリーンクロスが位置する河川敷は完全に水没しました。

国土交通省および現地の被災状況報告によると、コース一帯は最大で数メートルの泥水に呑み込まれました。グリーンやフェアウェイは見渡す限りの赤土と流木に覆われ、乗用カートやコース管理用の重機類、さらには名物だった渡し舟や桟橋設備に至るまでが濁流に流損・全損する壊滅的な打撃を受けました。

被災直後、運営側は営業再開に向けた懸命な泥の撤去作業と被害調査を開始しました。しかし、そこで突きつけられたのはあまりにも過酷な現実でした。

第一に、膨大な復旧コストです。27ホール全体の堆積土砂を除去し、芝を張り替えてコース管理重機やカートを全面再調達するには、数億円から十数億円規模の莫大な投資が必要と試算されました。第二に、地球温暖化に伴う水害の激甚化リスクです。近年、線状降水帯や大型台風の襲来頻度が急増しており、仮に巨額の資金を投じて復旧させたとしても、数年内に再び水没して投資が一瞬で水泡に帰すリスクが極めて高くなっていました。

経営陣は断腸の思いで完全復旧を断念し、営業再開の道ではなく、正式な閉鎖・営業終了という苦渋の決断を下すこととなったのです。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。