中国を手玉に取った元大使・垂秀夫が暴く習近平独裁と外交の暗闘

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北京での生活は、24時間体制の監視と隣り合わせだった。乗車する公用車の後方には常に不審な車両が貼りつき、宿泊先のホテルには盗聴の影がつきまとう。並の人間であれば精神を削られる極限状態において、垂氏はその包囲網を逆手に取り、独自の人的ネットワークを張り巡らせていった。これこそが、外務省のいわゆる「チャイナスクール」の中でも彼が伝説と称される所以である。

公然情報と非公式ルートから得た断片を組み合わせ、共産党中枢の意思決定プロセスを立体的に浮かび上がらせる。中国当局が最も恐れたのは、自国の政治構造の裏の裏まで知り尽くしたこの男の「眼」であった。相手の土俵に乗らず、相手のルールを逆用する。彼の情報収集力は、日本の安全保障政策を根底から支える防壁となった。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。