田舎の同人誌活動は不利?地方作家のリアルと遠征・通販の最新事情
「地方に住んでいると同人誌は売れない」「東京のイベントに通わなければ作家仲間ができない」という言説は、かつての同人シーンで頻繁に語られてきた通説です。しかし、流通構造と情報伝達手段が刷新された現在、この見解には大きな修正が必要です。
同人誌専門の委託書店やダウンロード販売プラットフォームの整備により、作品自体の認知・購買プロセスにおいて居住地による直接的なハンデはほぼ消失しました。SNSや作品投稿サイトでのプロモーションが作品の売れ行きを左右する現在、作品のクオリティと発信力さえあれば、青森の農村部に暮らしていても、沖縄の離島に暮らしていても、数千部規模のヒット作を生み出すことは十分に可能です。
一方で、完全に払拭できない物理的格差も厳然として存在します。その最たるものが「現場の熱気や偶発的な出会いを通じたモチベーションの獲得」と「即売会参加にかかる時間的・金銭的コスト」です。都市部在住者であれば電車で数百円・数十分でアクセスできる東京ビッグサイトやインテックス大阪への参加も、地方在住者にとっては数万円の交通・宿泊費を伴う「一大プロジェクト」となります。地方同人活動が不利とされる本質は、作品の販売力そのものではなく、この移動コストと体験アクセスの非対称性にあります。