芥川龍之介『鼻』のあらすじと結末|禅智内供が笑われた心理の真相

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『鼻』は、芥川龍之介が東京帝国大学在学中に同人誌『新思潮』(第4次)の創刊号で発表した短編小説です。平安時代末期の説話集『今昔物語集』(巻28第20「池尾坊鼻語」)および『宇治拾遺物語』に収められた話を下敷きにしながら、単なる滑稽話にとどまらない近代的な心理描写を大胆に注入しています。

本作の理解を深めるため、まずは中心となる登場人物とそれぞれの立ち位置を整理します。

  • 禅智内供(ぜんちないぐ):池の尾の僧坊に住む高位の僧侶。顎の下まで垂れ下がる約18cmの赤く太い鼻を持ち、地位や信仰心とは裏腹に、強い外見コンプレックスと自尊心の葛藤に苛まれている。
  • 弟子僧:内供の命を受け、都から最新の「鼻を短くする方法」を仕入れてきて施術を行う協力者。
  • 中童子(ちゅうどうじ):内供の食事の際に板で鼻を持ち上げる役目を担う少年。鼻が縮んだ後の変化に真っ先に吹き出す。
  • 周囲の僧侶・召使いたち:内供の鼻が長かった頃は腫れ物に触るように同情していたが、鼻が短くなった途端に陰口と嘲笑を浴びせる「世間」の象徴。

内供は僧侶として解脱を目指すべき身でありながら、内面では「他人にどう見られているか」に執着し続けています。外見を気に病む自分を恥じ、仏教経典から同じような鼻を持つ人物を探しては落胆するなど、プライドと劣等感の間で揺れ動く姿が克明に描かれます。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。