逗子ストーカー殺人事件の犯人と全貌|執拗な特定手口と警察の失態
被害者が徹底して隠していた居住地を、小堤はどのようにして突き止めたのか。その背後には、ネット空間の悪用とアンダーグラウンドな情報取引が存在していました。
小堤が用いたYahoo!知恵袋の特定手口は、極めて巧妙でした。小堤は「古い友人を探している」「写真の風景がどこの街か知りたい」などと一般ユーザーを装って質問を繰り返し投稿。被害者がSNS等に投稿していたわずかな手がかり(電柱の表記、駅前の風景、ローカルな店舗情報など)を小出しにして質問し、事情を知らない親切なネットユーザーの回答を集約して大まかなエリアを絞り込んでいきました。
さらに決定打となったのが、探偵事務所による個人情報漏洩です。小堤は複数の探偵業者に被害者の現住所特定を依頼。そのうちの一社(調査会社「T・リサーチ」の実質的経営者ら)が、いわゆる「情報屋」と結託し、逗子市役所の納税課へ被害者の夫の名前を騙って電話をかけました。「納税通知書の送付先を確認したい」という巧妙なソーシャルエンジニアリング(なりすまし電話)により、市職員から住所を聞き出すことに成功したのです。
小堤はこの不正に入手された住所データを凶行当日の午前中に受け取り、その数時間後に逗子市のアパートへ押し入りました。わずか数万円から数十万円の不正報酬のために個人の命を危険に晒す悪質な探偵業界の闇が白日のもとに晒された瞬間でした。