クジラの糞が地球を救う?竜涎香の価値と温暖化抑制の驚くべき真相
過去数十年にわたり、ネット上や一部の政治的言説で根強く主張されてきたのが「クジラが増えすぎると魚を食べ尽くし、人間の水産資源を奪う」という言説です。しかし、近年の海洋生態学と生物地球化学の統合研究は、この単純な足し算引き算の議論を明確に否定しています。
生態系モデリングの権威ある研究論文によると、クジラが大量に生息していた産業革命以前の南極海や北太平洋では、現在よりもオキアミも魚類も圧倒的に豊富に存在していたことが分かっています。クジラが獲物を大量に食べることで海中に大量の糞が撒かれ、それが植物プランクトンを爆発させ、結果としてオキアミや小魚の総量を底上げするという「正のフィードバックループ」が形成されていたからです。
捕鯨によって大型鯨類の個体数が激減した海域では、皮肉なことにクジラポンプが停止し、鉄分不足から海全体の基礎生産力が低下。結果としてオキアミの生息数まで激減するという現象(オキアミのパラドックス)が観察されています。クジラは資源の「消費者」であると同時に、資源を生み出す海全体の「耕作者」であったという事実が、データによって裏付けられています。