今注目を集めている 写真家・奈良原一高の革命|代表作とVivoが残した視線の軌跡について、多角的な視点を分かりやすく掲載しています。
1959年、奈良原一高は東松照明、細江英公、川田喜久治、佐藤明、丹野章とともにセルフ・エージェンシー「VIVO」を結成します。活動期間は1961年までのわずか2年余りでしたが、その影響力は日本写真史において決定的なものでした。
彼らは従来の報道写真家協会的な枠組みを脱し、写真家の主観と作家性を前面に押し出すスタイルを標榜。東松の社会批評的な視線、細江の身体的・演劇的な造形、そして奈良原の構造的・哲学的な空間把握が刺激し合い、戦後日本の視覚文化を一気に加速させました。
主要作品・プロジェクト制作時期・主な舞台表現的特徴・視線のアプローチ美術史的・批評的評価人間の土地1954–1956年
(桜島・黒神村 / 軍艦島)極限の自然と人工島における人間の生存空間をハイコントラストで描写リアリズム論争に終止符を打ち、主観的ドキュメンタリーを確立した金字塔王国1958年
(トラピスト修道院 / 女子刑務所)規律と隔離の中にある精神の自由と実存的空間を静謐に構造化日本写真批評家協会新人賞を受賞、作家としての地位を決定づけた傑作ヨーロッパ・静止した時間1962–1965年
(渡欧期・ヨーロッパ各地)石造文化と中世の残影、都市の静寂を彫刻的な光と影で捉える毎日芸術賞を受賞。異邦人の視点から西洋文明の本質を解体・再構築消滅した時間1970–1974年
(滞米期・アメリカ大陸各地)広大な荒野と巨大人工物、広角レンズによる空虚と浮遊感の提示アメリカの物質文明と時間概念の消失を鮮烈に捉えた国際的代表作