建築士の年収は低いのか?1級・2級の差と1000万超えの現実
世間一般の平均以上を稼ぎ出しているにもかかわらず、なぜ「建築士の年収は低い」「割に合わない」と叫ばれるのでしょうか。そこには建築業界特有の3つの構造的な要因があります。
第一の理由は、業務の過酷さと責任の重さに対するタイパ(タイムパフォーマンス)の悪さです。建築設計は顧客からの度重なるプラン変更要請、建築基準法などの法規チェック、施工現場との調整など膨大な工数を要します。みなし残業制を採用している中小事務所も多く、労働時間で換算した際の実質時給が低くなりがちな点が不満の温床となっています。
第二の理由は、設計事務所業界における多重下請け構造とフィー(設計料)の低当化です。公共事業や大規模開発では、元請けとなる組織設計事務所や大手ゼネコンが適正な利益を確保する一方、二次受け・三次受けとなる中小の意匠・構造設計事務所に支払われる設計監理料は削られやすい力学が働いています。
第三の理由は、資格取得までの莫大なコストとリターンが見合わない時期がある点です。一級建築士の試験は合格率が10%前後の難関であり、資格学校の受講費用に100万円以上、数千時間の勉強時間を投資するケースが珍しくありません。それだけの労力を注ぎ込んだにもかかわらず、取得直後は「資格手当が月数万円増えただけ」という現実に直面し、失望を感じる若手・中堅が少なくないのです。