お酒に強くなる方法はあるのか?遺伝子科学と酵素研究の最前線
アルコール代謝の過程で生成されるアセトアルデヒドは、極めて強い毒性を持ち、顔の赤みや動悸、吐き気、翌日の二日酔いを引き起こす最大の元凶だ。この毒素を迅速に解毒できるかどうかは、親から受け継いだALDH2(2型アセトアルデヒド脱水素酵素)のタイプに依存している。東アジア人は世界的に見ても、この酵素の働きが弱い、あるいは欠損している体質の割合が突出して高いことで知られる。
遺伝子タイプは大きく3つに分類される。酵素が正常に働く「活性型(酒豪タイプ)」、酵素の働きが低下している「低活性型(フラッシャータイプ)」、そして酵素の働きが完全に欠損している「非活性型(下戸タイプ)」だ。日本人のおよそ4割から5割が低活性型または非活性型に該当する。アセトアルデヒドが体内に滞留すると、全身の組織や細胞のDNAに損傷を与え、発がんリスクを急激に高める。特に低活性型の人が無理をして飲酒習慣を続けると、食道がんや頭頸部がんの発症率が数百倍に跳ね上がることが医学的調査で解明されている。