怪演の系譜。渋谷謙人が語る話題作の裏側と日本映画界での圧倒的存在感
渋谷謙人の演技を語る上で欠かせないのが、彼が歩んできた泥臭いまでの叩き上げの歴史だ。子役としてのキャリアに甘んじることなく、青年期には劇団の厳しい稽古場で感情の可動域を広げ続けた。徹底的に身体を追い込み、役柄の息遣いまで自らに染み込ませる職人技。それが彼の骨格を形作っている。
善人から一転して狂気を覗かせる二面性や、社会の片隅で懸命に生きる男の哀愁。どのような人物であれ、彼は単なる記号として演じることを絶対に良しとしない。だからこそ、カメラが回った瞬間に放たれる体温のある演技が、観客の胸を強く打つのだ。