能登・ヤセの断崖の現在と歴史|崩落の爪痕とゼロの焦点の真実
「ヤセの断崖」という独特の名称には、土地の地形と人々の感情が直結した由来があります。かつて断崖の先端に立ち、真下を覗き込むと「あまりの恐ろしさに足がすくみ、身が縮んで痩せる思いがした」ことから、この名が付けられたと伝えられています。海面からの高さは約35メートルに達し、垂直に近い角度で削り落とされた岩肌は、見る者に本能的な恐怖を抱かせます。
また、この周辺は源平合戦の英雄・源義経にまつわる伝説の宝庫でもあります。ヤセの断崖から遊歩道で北へ数百メートル進んだ場所にあるのが「義経の舟隠し」です。兄・頼朝の追手から逃れるため奥州へ落ち延びる途上、義経主従が48隻の船を隠したとされる細長い入江であり、断崖絶壁に囲まれた天然の隠れ港の地形を今に伝えています。