野球発祥の地はどこ?日米のルーツと学士会館記念碑の真相に迫る
世界史におけるルーツがニューヨークにあるとすれば、日本野球発祥の地はどこなのでしょうか。その答えは、東京都千代田区神田錦町3丁目に立つ「学士会館」の敷地角にあります。歩道に面した一角に、白球をしっかりと握りしめた巨大な右手のアグレッシブなブロンズ像が堂々と鎮座しており、台座には「日本野球発祥の地」と刻まれています。
この地に記念碑が建てられた背景には、明治維新直後の教育改革が深く関わっています。明治5年(1872年)、新政府によってこの場所に設置されたのが、日本初の官立高等教育機関である第一大学区第一番中学(のちの開成学校、現在の東京大学の母体の一つ)でした。ここにアメリカから招かれた英語・数学の教師が、当時28歳だったホーレス・ウィルソン(Horace Wilson)です。
当時、勉学に励むあまり運動不足に陥っていた日本のエリート青年たちを見たウィルソンは、「心身を健全に鍛えるには集団球技が最適である」と考えました。米国から持ち込んだボールとバットを生徒たちに手渡し、校庭の広場で打球・走塁の初歩を手ほどきしたのが、記録に残る日本初のベースボールの瞬間です。
この史実を顕彰するため、野球伝来130周年にあたる2002年、日本野球機構(NPB)やアマチュア野球団体が協力し、2003年春に学士会館記念碑が建立されました。記念碑の右手モニュメントは、世界に向けて大きく羽ばたく日本の野球界を象徴しており、ベースボールが教育の一環として種をまかれた神聖な原点を物語っています。