年金繰り下げ受給の損益分岐点は?最大84%増額の罠と後悔の真相
年金繰り下げ受給を検討する際、最も多くの人が見落とし、決定的な金銭的損失を被るのが「家族手当」にまつわる3つの制度的トラップです。
① 加給年金の全額支給停止(繰り下げ増額はゼロ)
厚生年金に20年以上加入している夫(または妻)が65歳になった際、65歳未満の生計を維持している配偶者がいる場合に上乗せ支給されるのが加給年金(年額約40万円)です。老齢厚生年金を繰り下げ待機している間、この加給年金は完全に支給停止となります。しかも、加給年金自体は繰り下げても一切増額されません。配偶者が65歳になるまでの年数が長い場合、受給を遅らせるだけで年間数十万〜数百万円の非課税給付を永遠にドブに捨てる結果となります。
② 振替加算の取り扱い
加給年金の対象であった配偶者が65歳に達すると、配偶者本人の老齢基礎年金に「振替加算」が加算されます。配偶者側が自身の老齢基礎年金を繰り下げている期間中、この振替加算も支給されず、増額の対象にもなりません。
③ 繰り下げ待機中に死亡した場合の遺族厚生年金の落とし穴
万が一、年金の繰り下げ待機中に本人が死亡した場合、残された配偶者に支払われる「遺族厚生年金」の額は、65歳時点の本来の年金額をベースに計算されます。どれだけ長期間我慢して待機していたとしても、遺族年金には1%の繰り下げ増額も反映されません。「家族のために年金を増やしておく」という意図は、死亡保障の観点からは全く機能しない点に厳重な注意が必要です。