「お風呂が沸きました」あの曲名は?ノーリツ・リンナイ採用理由の真相
日本国内の給湯器市場で圧倒的なシェアを分け合うノーリツ(NORITZ)とリンナイ(Rinnai)。両社が採用している給湯完了時の音楽は、いずれも18世紀から19世紀のヨーロッパで誕生したピアノ曲や管弦楽曲です。多くの人が「どこかで聴いたことがある」と感じるのは、小学校の音楽鑑賞やピアノ教室の発表会で定番として親しまれてきたクラシックの原曲だからに他なりません。
まず、圧倒的な知名度を誇るノーリツのリモコンから流れる軽快な旋律は、ドイツの作曲家テオドール・エステン(Theodore Oesten、オースティンとも呼ばれる)が手掛けたピアノ小品集『子供の情景』Op.202の第4曲、『人形の夢と目覚め』(Dolly's Dreaming and Awakening)です。給湯完了時に流れるのは、眠っていた人形が目を覚まして軽快に踊り出す第2部「人形の目覚め」のフレーズ。1997年(平成9年)に発売された給湯リモコン「RC-6000シリーズ」から標準採用され、四半世紀以上にわたり日本の家庭環境を彩ってきました。
一方、リンナイのリモコンから流れる優雅なワルツ調のメロディは、ドイツ・ロマン派オペラの祖であるカール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲したピアノ曲『舞踏への勧誘』(Aufforderung zum Tanz)です。舞踏会で紳士が淑女にダンスを申し込み、華やかに踊ったのち礼を述べるという優美なストーリーを持つ楽曲であり、家庭内におだやかで贅沢な余韻をもたらします。さらに、同社の一部モデルや特定の給湯設定では、アントニオ・ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲『四季』より『春(第1楽章)』が採用されており、季節の息吹を想起させる晴れやかな旋律が鳴り響きます。
他社に目を向けると、パロマ(Paloma)では機種や世代に応じてベートーヴェンの『エリーゼのために』や『ト調のメヌエット』、あるいは独自の洗練された電子チャイム音を採用。パーパス(PURPOSE)ではグスタフ・ランゲ作曲の『花の歌』が組み込まれている事例が確認されており、日本の給湯器メーカーは一貫して西洋クラシックの名曲に高い信頼を寄せてきました。