松井秀喜と長嶋茂雄の絆|素振りと国民栄誉賞、現在の関係まで徹底解剖
2002年シーズン終了後、松井秀喜がFA権を行使してニューヨーク・ヤンキースへの移籍を決断した際、日本中が揺れました。当時、巨人軍の終身名誉監督となっていた長嶋茂雄への報告は、松井にとって人生最大の苦渋の決断でした。一部のメディアでは「恩師を裏切ることになるのではないか」という憶測も飛び交いました。
しかし、自著『不動心』や当時の会見資料によると、長嶋氏は松井の決断を誰よりも深く理解し、「お前の人生だ。思い切って行ってこい」と温かく背中を押したとされています。私情を挟まず、弟子の無限の可能性を世界最高峰の舞台へ送り出す器の大きさを長嶋氏は見せました。
さらに二人の絆の深さを物語るのが、2004年に長嶋氏が脳梗塞で倒れた際のエピソードです。シーズン中であった松井は、海の向こうから恩師の体調を誰よりも案じ、シーズンオフの帰国時には公の目を避けて極秘裏に病院へ駆けつけました。言葉を発することが困難な状態であった長嶋氏の手を握り、自らの活躍を報告し続ける松井の姿は、関係者の涙を誘いました。
その苦難を乗り越えて迎えた2013年5月5日、東京ドームで開催された国民栄誉賞授与式。リハビリを重ねた長嶋氏が右打席に立ち、捕手役を務めた松井秀喜のミットに向かって松井政権下の始球式が行われた光景は、日本スポーツ史に残る感動的なクライマックスとなりました。