第五中足骨骨折はなぜ歩ける?捻挫と誤認する罠と手術基準・全治期間
足外側の痛みを訴えて外来を訪れる患者の多くが、受傷から数日から数週間経過してから来院します。その理由の筆頭が「痛いけれど、びっこを引けば歩けたから」というものです。なぜ骨が折れているにもかかわらず、自力歩行ができてしまうのでしょうか。そこには足部のバイオメカニクス(生体力学)が関係しています。
ヒトが直立・歩行する際、体重は踵骨(かかとの骨)、第一中足骨頭(親指の付け根)、第五中足骨頭(小指の付け根)の3点を結ぶアーチ構造によって分散されます。第五中足骨の基部(足の外側の出っ張り部分)が骨折していても、無意識にかかと側や足の内側(母指球側)に荷重を逃がして歩く「逃避性跛行」をとることで、激痛を回避して前進できてしまうのです。
特に危険なのが、足関節内返し捻挫(いわゆる通常の足首捻挫)と合併しているケースです。外くるぶしの前距腓靱帯付近が腫れ上がるため、本人は靭帯を痛めたと思い込み、骨折のサインである「ピンポイントの骨性圧痛(骨を直接押したときの鋭い痛み)」を見逃してしまいます。SNSや知恵袋などの医療相談コミュニティでも、「捻挫だと思って2週間普通に通勤していたら、再検査で完全骨折していた」という生々しい告白が数多く確認できます。歩けるという事実は、決して骨折を否定する根拠にはなりません。