昭和元禄落語心中が気持ち悪い理由とは?父親の真相と愛憎劇を徹底考察
本作の過去編(八雲と助六篇)で描かれる男女の確執も、「ドロドロした鬱展開」として知られています。芸者のみよ吉は菊比古(後の八雲)を狂おしいほど愛していましたが、菊比古は落語と心中するために彼女を冷酷に突き放します。
絶望したみよ吉は、菊比古の唯一無二の親友でありライバルであった助六(初太郎)に身を寄せ、小夏を身ごもります。この関係は決して純粋な恋愛ではなく、菊比古への当てつけと執着が引き金となった歪な関係でした。
東京を落ち延びた地方旅館での再会、雪の降る夜の旅館のベランダでの転落心中劇に至るまで、みよ吉が放つ情念の毒気は凄まじいものがあります。男同士の固い芸の絆(ホモソーシャルな結びつき)と、そこから弾き出された女の怨念が交錯する様は、息が詰まるほどの緊迫感と救いのなさを読者に突きつけました。