クリムト『接吻』のミューズ、エミリーが起こしたモードの革命

話題沸騰中の クリムト『接吻』のミューズ、エミリーが起こしたモードの革命について、詳しいまとめをご紹介しています。

豪奢な金箔と幾何学模様が絡み合うクリムトの最高傑作、絵画『接吻』。抱擁を交わす男女のモデルが誰であるかについては長年議論が交わされてきたが、もっとも有力視されているのがエミリー・フローゲその人である。だが、彼女の本当のすごさはカンバスの外側にこそあった。

エミリーは1874年、ウィーンの木工パイプ職人の家庭に生まれた。幼少期から裁縫技術を磨いた彼女は、単なる針仕事にとどまらず、布地を用いた立体造形の才能を急速に開花させる。当時、ブルジョワ階級の女性に許されていた選択肢は「結婚」か「慎ましいお針子」の二者択一だった時代に、彼女は自らのブランドを立ち上げ、ウィーン屈指のファッションアイコンへと上り詰めたのだ。クリムトとの関係も、一般的なパトロンと愛人という力関係ではなく、お互いの美学をぶつけ合い高め合うクリエイティブ・パートナーシップであったことが近年の書簡研究で明らかになっている。

阿部 裕樹

阿部 裕樹

エンタメ専門ジャーナリスト

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。