胃ろうか人工呼吸器か?延命治療と尊厳死の境界線で迫られる決断
突然の病や事故によって自らの意思を表明できなくなるリスクは、誰にでも存在する。その不条理から家族を守り、自らの尊厳を担保するための最も確実な防衛策が、リビング・ウィル(事前指示書)の作成だ。
リビング・ウィルには、心肺蘇生、人工呼吸器の装着、人工水分の投与、胃ろう造設など、特定の状況下でどの医療を希望し、どの医療を拒否するかを具体的に記す。ただし、一度書いた書面を金庫に保管しておくだけでは不十分だ。人の価値観や病状は時の経過とともに刻々と変化するからである。
そこで不可欠となるプロセスが、アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)だ。アドバンス・ケア・プランニング(人生会議)とは、本人が望む医療やケアについて、家族や医療・介護従事者と繰り返し話し合い、共有する一連の対話プロセスを指す。何を大切にして生きたいのか、最期の時間を誰とどこで過ごしたいのかを平時から語り合うことこそが、緊急時における医療チームの確固たる道標となる。