映画『スマホを落としただけなのに』歴代犯人の正体と結末・見る順番
本作が観客に「本当に怖い」とトラウマ級の恐怖を植え付けた最大の理由は、描かれている手口がすべて現実に起こり得るサイバー犯罪の手法に基づいている点にあります。
映画内で描かれるパスワードの類推(ペットの名前や生年月日の組み合わせ)、無料Wi-Fiスポットを踏み台にした通信傍受、スマホカメラの遠隔起動による盗撮など、特別なハイテク技術を使わずとも実行可能なソーシャルエンジニアリングの怖さが生々しく描かれています。「画面の向こうに誰かがいるかもしれない」という疑心暗鬼を生む演出が、日常の安心感を一瞬で奪い去ります。
また、志駕晃による原作小説との違いにも注目です。原作は「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉として出版され、より緻密なネット犯罪の手口や犯人の異常心理、警察組織の内部事情が冷徹なトーンで描かれています。映画版ではエンターテインメント性を高めるため、登場人物のドラマチックなバックボーンやアクション、恋愛要素が肉付けされており、両者を比較することで作品世界の解像度がさらに上がります。