ティラノサウルスの実際の姿とは?最新研究で覆る最強恐竜の真実
ジープを猛追する映画のワンシーンのように、「ティラノサウルスは時速50km前後で疾走できた」という説がかつて語られていました。しかし、近年の筋骨格バイオメカニクス解析や最新のスーパーコンピュータによる動作シミュレーションは、その神話を完全に打ち砕きました。
成体のティラノサウルスは時速約15〜20km(早歩きから軽いジョギング程度)しか出せなかったことが判明しています。体重が8トンを超える巨体で全速力疾走を行った場合、脚の骨にかかる衝撃荷重骨折のリスクが高すぎるため、両脚が同時に地面から離れる「走行(ランニング)」自体が力学的に不可能だったのです。
「それなら人間でも走って逃げ切れるのか」といえば、話はそう単純ではありません。同じ時代を生きた主食のトリケラトプスやエドモントサウルスも同様に鈍足であり、狩りにおいて時速50kmのスピードはそもそも不要でした。また、強靭な脚力と長い歩幅を活かした「驚異的な持久力(長距離追跡能力)」を備えており、獲物が疲弊するまで淡々と追い詰めるスタイルをとっていたことがわかっています。