【2026年最新】極彩色の龍と虎が目覚める「秩父神社」へ——平成・令和の大修復を終えた名社で感性を研ぎ澄ます旅
本殿の周囲を歩くと、塗り直された漆の光沢と群青や朱の顔料が目に飛び込んでくる。徳川家康の寄進によって天正20年(1592年)に再建された社殿は、権現造りの傑作だ。とりわけ拝殿・本殿を飾る彫刻群は圧巻である。
北東の鬼門を守る「つなぎの龍」は、あまりの躍動感ゆえに夜な夜な近くの池で暴れたため、鎖で繋ぎ止められたという伝説を持つ。修復を経て青く輝くウロコの一片からは、当時の職人が込めた荒々しくも繊細な息遣いが伝わってくるようだ。また、日光東照宮の「見ざる・言わざる・聞かざる」とは対照的に、ここでは「よく見・よく聞き・よく話す」を意味する「お元気三猿」が彫られている。情報をシャットアウトするのではなく、前向きに耳を傾け、発言する。現代を生きる私たちに投げかけられた、粋なメッセージのように思えてならない。