呪われた王カルロス2世の悲劇|ハプスブルク家断絶と近親婚の真相
カルロス2世の肖像画を見ると、極端に突き出た下顎がはっきりと確認できます。これはハプスブルク一族に多く見られた遺伝的特徴である下顎前突症(通称:ハプスブルクの顎)の最も深刻な例です。
当時の宮廷画家フアン・カレーニョ・デ・ミランダやクラウディオ・コエロらは、王の尊厳を保つために極力美化して描こうと試みました。それでも隠しきれなかったほど、その変形は重度なものでした。上下の歯がまったく噛み合わないため、カルロス2世は食べ物を噛み砕くことができず、食事はすべて丸呑みにせざるを得ず、常に激しい胃腸障害と嘔吐に悩まされ続けたと記録されています。
王を苦しめたのは顎の変形だけではありません。残された詳細な病歴から、現代の医学では以下のような複合的な遺伝疾患・先天性疾患が指摘されています。
- 成長・発達の遅延:4歳になるまで言葉を発することができず、脚の骨が極端に弱かったため8歳まで自力で歩行することができなかった。
- 腎尿細管性アシドーシスとくる病:慢性的な下痢、頻繁な熱病、骨の形成不全に生涯苦しめられた。
- 下垂体性小人症・尿道下裂:深刻な内分泌異常を抱えており、これが原因で完全な不妊状態にあったと推測されている。
30代を迎える頃には頭髪と歯がほとんど抜け落ち、視力低下や浮腫、幻覚症状に襲われ、実年齢を遥かに超えた老人のような容貌になっていたと伝えられています。