胸がチクチク痛む原因は?危険な心臓病の見分け方と受診科の目安
胸部に走る鋭い痛みに対して、「チクチクする程度なら大したことはない」と自己判断してしまうケースが後を絶ちません。しかし、命に関わる危険な胸痛の見分け方を把握しておくことは、生命を守るうえで不可欠なリテラシーです。
一般的に、皮膚や肋骨周辺の末梢神経が刺激されて生じる痛みは「チクチク」「ズキッ」と局所的・表層的に感じられます。一方、心臓の筋肉(心筋)へ血液が届かなくなる虚血性心疾患では、神経の走行構造上、チクチクというより「締め付けられる」「重石を乗せられたような圧迫感」として自覚される傾向があります。厚生労働省の患者動向調査や日本循環器学会のガイドラインでも、急性冠症候群の典型例は絞扼感(こうやくかん)であると示されています。
注意すべきは心臓病の初期症状です。本格的な発作に至る前段階では、典型的な締め付け感ではなく、「胸の奥が刺すように痛む」「軽い違和感が断続的に走る」といった非典型的な症状を自覚する患者が一定割合存在します。以下の狭心症の前兆チェックに該当する項目がないか、直ちに確認してください。
・早足で歩いたときや階段を上ったときに胸のチクチク・圧迫感が増す
・数分(おおむね2分〜15分程度)安静にしていると症状が軽快・消失する
・左胸だけでなく、左肩、喉、顎、背中にかけて痛みが広がる感覚(放散痛)がある
・痛むと同時に冷や汗が出る、あるいは強い息苦しさを覚える
これらの中で1つでも思い当たる節がある場合、毛細血管や冠動脈の血流が一時的に低下している疑いがあります。「痛みが一瞬で消えるかどうか」「労作(体を動かすこと)によって誘発されるか」が、致死的な病態を切り分ける第1のスクリーニング基準となります。