木造建築の命運を握る「造営材」の真実と失敗しない木材選定術
造営材の究極の姿は、千三百年以上にわたり繰り返されてきた伊勢神宮式年遷宮造営事業にある。20年に一度の遷宮のために、何百年も前から宮域林で檜を育て、伐採し、清流に晒してアクを抜く。気の遠くなるような時間をかけて準備される御用材は、まさに持続可能な造営材の原点といえる。
社寺建築・伝統木造工法で培われたこの叡智は、現代のモニュメンタルな建築にも色濃く受け継がれている。全国47都道府県の地域材を集めて屋根トラスを組み上げた新国立競技場整備事業は、古代の造営思想を現代のサプライチェーンで再現した好例だ。隈研吾氏が追求する「環境に溶け込む木造」は、単なる表層のデザインではなく、木材の産地から加工、架構に至るストーリーそのものを造営材として統合している。