慣用句とは?ことわざとの違いや有名一覧・語源まで徹底解説
慣用句を深く味わう醍醐味は、その誕生背景(語源・由来)にあります。文字通りの行動からは想像もつかないような、歴史的な風習や職業文化が言葉の奥に眠っています。
■ 「油を売る」(意味:仕事の途中で無駄話をして時間を潰す、怠ける)
江戸時代、行商の油売り職人は、客の持ってきた容器に髪油や行灯用の油を柄杓(ひしゃく)で移し替えて販売していました。粘り気のある油は細い注ぎ口からポタポタと少しずつしか落ちず、注ぎ終わるまでに相当な時間がかかります。その待ち時間の間、油売りが客の女性たちと世間話や噂話に興じていた光景から、「無駄話でサボる」という意味へと定着しました。
■ 「匙(さじ)を投げる」(意味:救いようがなく、手の施しようがなくなって諦める)
この「匙」とは、現代のスプーンではなく、漢方医が薬を調合する際に使っていた薬さじを指します。江戸時代や明治初期、医師が危篤の病人を診察した際、「これ以上どんな薬を調剤しても効き目がない」と悟ったとき、持っていた薬さじを投げ出して治療を断念した医療現場の実情に由来しています。
■ 「しのぎを削る」(意味:激しく争う、競い合う)
日本刀の構造に関係する武士発祥の言葉です。刀の側面にある刀身の盛り上がった稜線部分を「鎬(しのぎ)」と呼びます。激しい斬り合いの中で刀同士が激しく激突し、互いの鎬が削れ落ちるほどの死闘を繰り広げたことから、現在でもライバル同士の熾烈な競争を形容する言葉として残っています。