「めばちこ」だけじゃない!ものもらい呼び方の地域差と語源の謎
関西弁の領域をさらにミクロな視点で観察すると、目を見張るような境界線が現れる。京都の老舗街では「めんぼ」と呼ぶ高齢者が少なくないのに対し、大阪の若者は一卵性双生児のごとく「めばちこ」一色だ。
さらに興味深いのは紀伊半島の動きである。和歌山県南部や三重県伊勢志摩地方では、「めごじき」あるいは「めこじき」という古風な呼び名が今なお根強く残る。他人の食べ物を欲しがる様子になぞらえた語源に由来すると言われるが、目と鼻の先にある大阪の「めばちこ」文化とは一線を画している。同じ近畿圏でありながら、山脈や海運のルートによって言葉の防波堤が築かれていた証拠だ。