Wacci『別の人の彼女になったよ』歌詞解釈|隠された本音と涙の理由

話題沸騰中の Wacci『別の人の彼女になったよ』歌詞解釈|隠された本音と涙の理由について、詳しいまとめをご紹介しています。

『別の人の彼女になったよ』の歌詞は、全編にわたって「元彼」に向けた語りかけの体裁をとっています。冒頭から並べられるのは、現在の恋人の非の打ち所がない美点です。怒らないこと、たばこを吸わないこと、お酒も程々であること、そして自分を大切に扱ってくれること。しかし、これらを一つひとつ列挙する語り口には、どこか無理に自分へ言い聞かせているような不自然さが漂います。

歌詞中盤で描かれる「映画の趣味」や「体型への気配り」の描写は、主人公の心理的葛藤をより鮮明にします。難解な映画を観てキスをして眠る今彼との洗練された大人の関係と、くだらない漫画を一緒に読んで笑い転げていた元彼との荒削りな時間。今彼と一緒にいるときの自分は「大人な女性」という理想の役割を演じているのに対し、元彼といたときの自分は「素の自分」をさらけ出していた事実が浮き彫りになります。

楽曲のクライマックス、「だからもう会えないや ごめんね」という最後の歌詞にこそ、主人公の最も残酷で切ない本音が凝縮されています。今彼を愛そうと懸命に努力しているからこそ、一度でも元彼に会ってしまえば、築き上げた平穏と決意が一瞬で崩壊してしまう。この拒絶は元彼への拒絶ではなく、元彼に揺らいでしまう自分自身の弱さに対する防衛策にほかなりません。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。