5万回斬られた伝説の斬られ役・福本清三の生き様と殺陣の美学
彼の名が世界へ轟く決定的な契機となったのが、2003年公開の映画『ラスト サムライ』だ。無口で寡黙、常に主人公の傍らに寄り添い護衛する「サイレント・サムライ」役に抜擢された彼は、一言の台詞もないまま圧倒的な存在感を発揮した。撮影現場で主演のトム・クルーズは、彼の無駄のない佇まいと洗練された身体言語に深い敬意を抱いたという。
ハリウッドのトップスターと、日本のたたき上げの大部屋俳優。言葉の壁を超えて通じ合ったのは、お互いの本気度だった。トム・クルーズが劇中で見せる殺陣の完成度の陰には、常に彼の手本と助言があったと言われる。ハリウッドの大型アクション映画のスタッフ陣すらも、彼の立ち回りの美しさとプロフェッショナリズムに息をのんだ。