なぜ夢の国でパニックを起こすのか?笑顔の裏に潜む恐怖症の心理学
人間は他者の表情を微細に読み取ることで、相手の意図や感情、自分への危害の有無を推し量る生き物だ。目元の動き、口元の歪み、わずかな筋緊張の変化。私たちは無意識のうちに相手の精神状態をセンシングしている。ところが、着ぐるみの顔は一切変化しない。どれほど激しく踊り、手を振っていようとも、その表情は固直したままだ。
この「表情の不変性」こそが、脳の扁桃体を過剰に刺激する最大の要因だと専門家は指摘する。認知神経科学の分析によれば、脳は「感情を読み取れない対象」を潜在的な脅威とみなすアルゴリズムを備えている。さらに、着ぐるみの構造上避けられない視覚的な死角や、中の人間の動きと巨大な頭部のミスマッチが、視覚野に不協和音を生み出す。生存本能が「異常事態」と判定し、交感神経が一気に優位へと跳ね上がるのだ。