中山美穂がNhkに残した伝説|紅白の名歌唱と名作ドラマの舞台裏
女優としての中山美穂さんのキャリアにおいて、NHKドラマへの出演は重要なターニングポイントとなってきました。民放のトレンディドラマで時代を牽引した彼女が、大人の女性の葛藤や業を演じる本格派女優へと飛躍を遂げた舞台が、NHKのドラマ枠でした。
その筆頭が、2014年にNHK BSプレミアムで放送されたドラマ『プラトニック』です。野島伸司氏が脚本を手掛け、堂本剛さんと共演した本作で、中山さんは心臓病を患う娘を抱え、絶望の中で生きるシングルマザー・望月沙良役を熱演。生と死の狭間で揺れ動く大人の純愛を、極限まで抑えたトーンと吸い込まれるような瞳の芝居で表現し、第41回放送文化基金賞番組部門の演技賞候補に挙がるなど批評家からも極めて高い評価を獲得しました。
さらに2018年のプレミアムドラマ『平成細雪』では、谷崎潤一郎の名作をバブル崩壊後の現代に置き換えた重厚な世界観のなか、蒔岡家の長女・鶴子役を好演。名家の誇りと現実の衰退との間で葛藤する本家の妻としての気品と脆さを、艶やかな着物姿とともに見事に体現しました。トレンディドラマのアイコンから、日本の伝統的な美意識とリアリズムを併せ持つ名女優へ――NHKドラマ出演歴は、彼女の表現力の広さと深さを雄弁に証明しています。