【2026年現地ルポ】開設6年を迎えた白老の現在地――ウポポイが映し出すアイヌ文化継承のリアルと「共生」の壁

【2026年現地ルポ】開設6年を迎えた白老の現在地――ウポポイが映し出すアイヌ文化継承のリアルと「共生」の壁にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

2026年7月の開園時、メディアは「年間来場者数100万人」という目標を大々的に報じた。感染症流行の影響で立ち上がりこそ苦戦を強いられたものの、2026年現在の来場者層には明確な変化が生じている。一回限りの物見遊山で訪れる団体客だけでなく、数日間かけてじっくりとワークショップに参加するリピーターや、教育関係者、海外からの知的好奇心に満ちた個人客が急増しているのだ。

国立アイヌ民族博物館の常設展示室では、音声ガイドを片手に1時間以上もひとつの展示ケースの前に佇む人々の姿がある。衣裳の文様や狩猟具の精密さに感嘆の声をあげる旅行者に、ボランティアのアイヌスタッフが静かに声をかける。「これはただの古道具ではありません。私たちの祖先が自然のカムイ(神)と交わした約束の形なのです」。モノを消費する観光から、背景にある歴史と思想を汲み取る学習型観光へ。ウポポイが目指した質の高い体験が、時間をかけて実を結びつつある。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。