安楽死薬の真実:スイスの処方要件と世界で激化する合法化議論
自死介助の歴史的転換点となったのは、アメリカの医師ジャック・ケヴォーキアンの存在だ。130人以上の患者の自死を幇助し、「ドクター・デス」と呼ばれた彼の生涯は、HBOが制作した名作映画『死を処方する男 ジャック・ケヴォーキアンの真実』でも克明に描かれた。彼は自作の自死装置「サスコトロン」を用いて致死薬を投与し、裁判で有罪判決を受けながらも、社会に強烈な問題提起を行った。
一方、現代において物議を醸し続けているのが、オーストラリアの医師フィリップ・ニッチケである。「安楽死界のイーロン・マスク」とも称される彼は、窒素ガスを用いて安楽死を可能にする3Dプリントカプセル「サルコ(Sarco)」を開発した。薬物によらない死の技術化を推し進める姿勢には、医療倫理の根底を揺るがすものとして世界中から賛否両論が巻き起こっている。