なぜゼファーの火の玉カラーは熱狂を呼ぶ?伝説の系譜と高騰の真相
ゼファーに宿る火の玉カラーの起源を語る上で外せないのが、1972年に登場した「900 Super4(Z1)」と、翌1973年に国内向けとして発売された「750RS(通称Z2)」の存在です。当時、カワサキが世界最強最速を目指して開発したこのマシンに与えられたのが、深みのあるブラウンをベースに鮮烈なオレンジのティアドロップラインを配した「キャンディトーンブラウン×キャンディトーンオレンジ」でした。
この配色が採用された背景には、北米市場をはじめとする世界市場で「一目でカワサキとわかる強烈なインパクトと高級感」を両立させる狙いがありました。燃料タンクの優美な曲線を最大限に強調するデザインは瞬く間にモーターサイクル界を席巻し、「カワサキの空冷=火の玉」という不滅の方程式を決定づけたのです。
1989年に登場したゼファーは、レーサーレプリカ全盛の時代に風穴を開けた立役者でした。原点回帰を掲げたゼファーに、カワサキ黄金期を象徴する火の玉カラーが与えられたのは必然の選択であり、オールドファンには熱狂的なノスタルジーを、若い世代には普遍的な造形美の衝撃を与えました。