博物館 網走監獄の見どころと所要時間|脱獄王の伝説から監獄食まで徹底解剖
網走監獄の歴史を語る上で欠かせないのが、数々の伝説を残した受刑者たちの存在です。中でも「昭和の脱獄王」として日本犯罪史に名を刻んだ白鳥由栄(しらとり よしえ)と、明治の脱獄魔「五寸釘寅吉」こと西川寅吉(にしかわ とらきち)のエピソードは、博物館内でも絶大な人気を誇る見どころとなっています。
舎房の第4舎に足を踏み入れると、天井近くの天窓(明かり取りの視察孔)に張り付く囚人の人形が目に飛び込んできます。これこそが、1944年(昭和19年)に網走刑務所からの脱走を成功させた白鳥由栄の脱獄シーンを再現したものです。白鳥は、毎日配給される「味噌汁の塩分」を使って手錠や視察孔のボルトに吹きかけ続け、何ヶ月もかけて鉄を腐食させました。そして、人間離れした関節の柔らかさを活かして肩の関節を脱臼させ、幅数十センチしかない天窓の隙間から抜け出し、オホーツクの厳寒の山中へ逃走したのです。青森、秋田、網走、札幌と生涯で4度の脱獄を成功させた白鳥の驚異的な身体能力と執念は、現代の来館者にも強烈なインパクトを与えています。
一方、明治時代に名を馳せた西川寅吉は、逃走中に踏み抜いた五寸釘(約15cmの鉄釘)が足の裏に刺さったまま数里(十数キロ)を走り切ったことから「五寸釘寅吉」の異名を取りました。脱獄を繰り返した彼ですが、晩年は網走刑務所で模範囚として過ごし、72歳で仮釈放される際には多くの看守から惜しまれつつ出所したという人情味あふれる逸話も残されています。単なる凶悪犯としてではなく、当時の司法制度や人間臭いドラマが立体的に浮き彫りになる展示構成こそ、本博物館の奥深い魅力です。