地球を冷やす「禁断の気候工学」救世主か人類破滅の引き金か

地球を冷やす「禁断の気候工学」救世主か人類破滅の引き金かに関する最新の話題を分かりやすく解説いたします。

気候工学が科学界の表舞台へと躍り出た最大のきっかけは、オゾン層破壊の解明でノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェン博士が発表した一冊の論文だった。排出削減の進展に絶望した彼が「成層圏への硫黄散布の研究を開始すべきだ」と提言したことで、それまでタブー視されていた領域の扉がひらかれた。

その潮流を決定づけたのが、気候工学研究の第一人者であるデヴィッド・キース教授とハーバード大学の研究チームが推進してきたSCOPEx計画(成層圏制御摂動実験)だ。成層圏に無人気球を打ち上げ、微量の炭酸カルシウム粒子を放出して物理的変化を計測するこの実証実験は、環境団体や現地住民からの猛烈な反対に遭い、幾度もの延期と計画変更を余儀なくされた。SCOPEx計画を巡る衝突は、先端科学が直面する社会的・倫理的な合意形成の難しさを象徴している。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。