体循環と肺循環の仕組みを完全解説!心臓と血管の血液ルート図鑑
肺循環の核心部となるのが、肺の奥深くに存在する極小の袋、肺胞だ。ここで繰り広げられるのが「ガス交換」と呼ばれる極めて精妙な物理現象である。
毛細血管の壁はわずか細胞1枚分の薄さしかない。肺胞の中に吸い込まれた空気中の酸素は、濃度の差(分圧差)に従って自然と毛細血管内の赤血球へと移動する。同時に、全身から運ばれてきた二酸化炭素は毛細血管から肺胞内へと放出される。エネルギーを消費しない物理的な拡散現象を利用した、驚くほど無駄のないシステムだ。
このガス交換がスムーズに行われることで、暗赤色の静脈血は一瞬にして鮮血の動脈血へと生まれ変わる。肺静脈という名でありながら、そこを流れるのは酸素をたっぷり含んだ動脈血であるという点は、多くの学習者がつまずきやすいポイントだが、このガス交換の現場をイメージできれば納得は易しい。