米谷清和が描いた「都市の静寂」:雨と雑踏のなかに揺れる現代日本画の革新
米谷の画業を語る上で欠かせない代表作を追うと、彼がいかに視線の角度を研ぎ澄ませていたかが分かる。
『駅』(1980年代)
ホームで電車を待つ群衆の後ろ姿を描いた一作。駅の鉄骨構造と直線的な架線が画面を分割し、構造美を作り出している。乗客たちの肩の傾きや足元のかすかなグラデーションが、都会人の疲労感と静かな生活の営みを伝えている。
『雨の日の街』
交差点を行き交う傘の波。上空から俯瞰した視点と、路上からの視点が絶妙に交錯する。赤や青の信号光が雨煙に霞む表現には、岩絵の具の細かい粒子が効果的に用いられている。伝統的な日本画の「霞(かすみ)」の技法が、現代都市の「雨煙」として見事に再解釈されている。