マフラーから水が出るのは故障か?原因と危険な白煙の見分け方
「エンジンが好調だから水が出る」という物理法則の裏側には、日常的な車の使い方次第で排気系に致命的なダメージを与える大きな落とし穴が存在します。それが、マフラー内部の錆と腐食穴あきを引き起こす「結露水の滞留問題」です。
近年の自動車ディーラーや指定整備工場における現場取材では、走行距離が年間3,000km未満で、1回の走行が買い物や子どもの送迎など「片道10分未満(数km)」に偏っている車両ほど、年式に対してマフラーの腐食が深刻化している実態が報告されています。走行時間が短いと、排気系全体の温度が十分に上がりきりません。サイレンサー内部に発生した凝縮水が沸点(100℃)に達して気化・蒸発する前にエンジンが止められてしまうため、金属の太鼓(タイコ)部分の底に水分がプールのように溜まり続けるのです。
さらに問題を悪化させるのが排気ガスの組成です。排気ガスには微量の硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が含まれており、これらが凝縮水に溶け込むことで、pH値の低い強酸性の液体(亜硫酸や硝酸など)へと変化します。ステンレス鋼が多用される現代の排気系であっても、酸性の腐食水に常時浸され、外側の融雪剤(塩化カルシウム)などの塩害と重なると、内側と外側の両面から酸化が急速に進行します。
こうした事態を防ぐため、多くの純正マフラーには底面の一角にマフラー水抜き穴の役割と詰まりを想定した微小なドレンホール(直径1〜2mm程度の水抜き穴)が意図的に設計されています。しかし、走行中の泥跳ねや融雪剤、あるいは排気中のカーボン煤が堆積することで、この小さなドレンホールが閉塞してしまうケースが珍しくありません。水抜き穴が詰まると、サイレンサー内部に常時1〜2リットルもの酸性水が溜まり、やがて金属壁を貫通してボロボロの穴あき状態へと崩壊していきます。