映画と原作で違う衝撃結末!デデデデの伏線と侵略者の真実を徹底考察
物語の冒頭、8月31日に突如として東京・渋谷上空へと現れた巨大な飛行物体「母艦」。威圧的な黒い球体は、一見すると地球征服を企む侵略軍の要塞に見えました。しかし、物語の中盤以降で次々と明かされる侵略者の正体は、人類が抱いていたハリウッド的宇宙人像を根底から裏切るものでした。
彼らは高度な軍事力を誇る侵略部隊などではなく、居住不能となった母星を脱出し、長い漂流の末に地球へと流れ着いた「宇宙難民」でした。母艦自体もすでに機能の大半を喪失したボロボロの移民船であり、内部では深刻な燃料枯渇と生命維持装置の停止が進んでいました。小型船から落下してくる個々の侵略者は、知能こそ持ちながらも身体能力は極めて脆弱で、丸みを帯びた小さな身体を持つ、非暴力的な知的生命体に過ぎなかったのです。
にもかかわらず、日本政府および自衛隊、さらには米軍はこれを「国家存亡の危機」と定義しました。新型兵器「A兵器」の実験場として母艦を攻撃し、撃墜された小型船の乗組員を玩具のように狩り立てる市民や自警団。浅野いにおが本作で突きつけたのは、未知の異邦人を前にしたときに露呈する「人類の排外主義と集団ヒステリーの恐ろしさ」でした。東京の上空に母艦が浮いていることすら「インスタ映え」の背景として消費し、日常の退屈を紛らわせるために他者を虐殺する――そのグロテスクな構図こそが、本作における最大のホラーと言えます。