歌舞伎に女性が出られない理由とは?出雲阿国から現代の変革まで

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江戸時代から明治、大正、昭和へと時代が移り変わる中で、女性の社会進出や法的な権利は劇的に変化しました。公法上の「女性出演禁止令」は明治初期に事実上失効しており、現代の日本法において女性が歌舞伎を演じることを直接禁じる法律は存在しません。それでもなお、松竹が興行する大歌舞伎において女性役者が起用されないのは、極めて強固な「家柄(いえがら)」と「世襲システム」が機能しているためです。

歌舞伎界は、市川宗家(成田屋)、尾上家(音羽屋)、松本家(高麗屋)といった名門の家系が芸と名跡(名代)を代々継承することで成立しています。男児が幼少期から「初お目見え」「襲名披露」を経て舞台経験を積み、父や祖父から口伝で秘伝の芸を叩き込まれる徒弟制度が何百年も維持されてきました。

現在、国立劇場が実施している歌舞伎俳優研修生制度など、一般からの弟子入りルートも確立されていますが、応募資格は「中学校卒業以上の男子」に限定されています。何世代にもわたり積み重ねられてきた芸の伝承構造、衣裳や鬘(かつら)の寸法体系、さらには興行システム全体が「男性俳優による身体表現」を前提に最適化されているため、その枠組みを一朝一夕に変えることは極めて困難とされているのが実情です。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。