トーマス・マグパイ: 英国ロックの隠れた伝説
1973年春。マグパイは友人が運営していた小さなスタジオで、約2週間かけて録音セッションを行った。この時録音されたのが、後に伝説となる未発表アルバム「Shadows and Feathers」である。
全8曲。総演奏時間37分。アルバムには英国の田園風景、失われた愛、そして産業化によって変貌する社会への静かな抵抗が込められていた。特に注目すべきは、4曲目の「Blackbird's Lament」である。この曲は7分を超える大作で、中世の吟遊詩人の伝統とモダン・ジャズの即興性を融合させた野心的な試みだった。
なぜアルバムは発売されなかったのか
理由は複数ある。まず、マグパイ自身が完璧主義者だったこと。彼は録音の質に満足せず、何度もミックスのやり直しを要求した。次に、資金不足。独立系レーベルからのリリースを計画していたが、1973年のオイルショックによる経済不況で計画は頓挫した。
そして決定的だったのが、1974年初頭のマグパイの突然の「失踪」である。彼は友人たちに何も告げず、ロンドンから姿を消した。スタジオに残されたマスターテープは、彼の友人が大切に保管することになる。