仮面ライダー藤岡弘、の真実|事故の裏側と家族へ紡ぐ魂の系譜
1971年4月3日にNET(現・テレビ朝日)系で放送を開始した『仮面ライダー』。その主人公・仮面ライダー1号 本郷猛役に抜擢されたのが、当時25歳だった藤岡弘、氏でした。知勇兼備のオートレーサーであり生化学研究所の頭脳を持つ本郷猛というキャラクターは、藤岡氏の鍛え上げられた肉体と精悍なマスク、そして知性的な眼差しによって唯一無二の説得力を獲得しました。
ネット上でしばしば話題となる藤岡弘 若い頃 画像を目にすると、昭和の銀幕スターならではの端正さと野性味が同居した圧倒的なカリスマ性に驚かされます。1965年に松竹映画でデビューし青春路線で脚光を浴びていた藤岡氏は、オートバイの腕前もプロ級であり、当初はスタントマンを使わずに危険なバイクアクション自らこなしていました。まさに「生身のヒーロー」として過酷な撮影現場を牽引していたのです。
しかし、現代のファンにとって常識である「変身ポーズをとってライダーに変身する」という様式美は、番組開始当初の旧1号編には存在していませんでした。初期設定における本郷猛は、バイク走行時の風圧をベルトの風車(タイフーン)に受けることでダイナモを回転させ、変身エネルギーを得ていたためです。自らの意志で両手を交差させポーズを決めるアクションは、後述する悲劇的なアクシデントを乗り越える過程で奇跡的に生み出されたものでした。
制作陣と藤岡氏が目指したのは、単なる子供向けのアクション劇ではなく、孤独を背負った青年の苦悩と悪の秘密結社ショッカーに対する怒りを描く本格的な人間ドラマでした。その過剰なまでのリアリズムと熱量が、やがて日本中を巻き込む巨大ムーブメントの導火線となっていったのです。