銀座奥野ビルの解体の噂と現在|手動エレベーターと306号室の魅力

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銀座奥野ビルのルーツは、昭和初期の1932年(昭和7年)に本館が竣工し、1934年(昭和9年)に新館が増築されて一体となった高級集合住宅「銀座アパートメント」に遡ります。同潤会アパートの建設や設計にも深く関わった建築家・川元良一氏が設計を手掛け、当時の最先端技術とモダンな美意識が注ぎ込まれました。

鉄筋コンクリート造・地上6階(地下1階)の建物には、各戸にスチーム暖房や電話が完備され、地下には住民専用の大浴場が設けられるなど、当時としては破格のモダンライフを誇る都市型高級住宅でした。外壁を彩るスクラッチタイルや、フロアごとに異なる表情を見せる幾何学模様のリノリウム床、優美な曲線を描く手すりなど、職人の手仕事による意匠が随所に息づいています。

第二次世界大戦の東京大空襲や高度経済成長期の地価高騰を乗り越え、集合住宅からオフィス・商業用途へと転換した現在も、外観・内装ともに当時の面影を極めて濃密に残しています。単なる古い建物ではなく、銀座という街の文化的地層を今に伝える貴重な生き証人といえます。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。