産業革新投資機構Jicの全貌|巨額買収の裏側と経産省対立の真相
組織再生を果たしたJICが放った最大の勝負手が、半導体サプライチェーンの再編を狙った巨額買収です。
2026年に発表され、世界中に衝撃を与えたのがフォトレジスト(感光材)世界シェア首位のJSRに対する約9,000億円規模のTOB(株式公開買付)でした。民間屈指の優良企業が自ら官民ファンドの傘下に入り非公開化を選んだ理由は、激化するグローバル競争下で短期的な四半期決算のプレッシャーから脱し、業界再編の買い手として大胆なM&Aを主導するためです。先端半導体材料分野で日本勢が高いシェアを誇りながらも、個別企業が小粒で過当競争に陥っている現状を打開する布石となりました。
さらにJICは、富士通系で半導体パッケージ基板大手の新光電気工業に対しても大日本印刷や三井化学と連合を組み買収を決定。後工程(パッケージング)技術の重要性が急速に高まるなか、重要部材メーカーを国内連合で強固に囲い込み、次世代パッケージング技術の開発基盤を強固にする狙いがあります。これらのディールは、単なる資金支援ではなく「国家主導の半導体エコシステム防衛・強化戦略」そのものです。