宇多田ヒカルの母・藤圭子とは?伝説の歌声と最期に秘められた真相
母の突然の死は、宇多田ヒカルの音楽活動に計り知れない影響を与えました。当時無期限の活動休止中(人間活動中)だった彼女は、母の死という巨大な喪失と向き合う中で、再び音楽を紡ぎ出す力を取り戻していきます。
2016年に発表された復帰アルバム『Fantôme(ファントーム:フランス語で「幻」「気配」の意)』は、まさに亡き母への追悼と対話が全編に貫かれた最高傑作となりました。NHK連続テレビ小説の主題歌となった『花束を君に』や『真夏の通り雨』、『道』といった楽曲には、母への感謝、別れの痛み、そして前を向いて生きる決意が生々しく刻まれています。
藤圭子が持っていた「声そのものに宿る哀愁」や「言葉の説得力」は、ジャンルこそ演歌からポップス・R&Bへと姿を変えたものの、宇多田ヒカルのボーカルの中に完全に息づいています。母が遺した情念の歌声は、娘の歌唱表現の中で今もなお昇華され続けています。