【2026年現地ルポ】千年の聖域が魅せる静寂のイノベーション――「洞川温泉」に現代人が惹きつけられる必然
温泉街の散策と合わせて訪れたいのが、数千年の歳月をかけて形成された「面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)」だ。レトロなモノレールに乗って急勾配の山肌を登ると、そこには年間を通じて気温約10度に保たれた静寂の地下空間が広がる。繊細な鍾乳石が織りなす造形美は、自然の壮大な営みを肌で実感させてくれる。
一方、温泉街の中心に佇む「大峯山龍泉寺」は、修験道の根本道場として今なお凛とした空気を纏っている。境内の龍の口から湧き出る清水は修験者たちの水行場となっており、湧き水が作る池の美しさは息をのむほどだ。春の新緑、夏の清流、秋の燃えるような紅葉、そして冬の雪景色と、四季折々で見せる厳かな表情が訪れる者の心を捉えて離さない。