瀬戸内寂聴の本名とは?晴美から寂聴への改名と壮絶な人生ドラマ
僧侶となってからの寂聴は、さらに創作のエネルギーを爆発させる。京都・嵯峨野に開いた「寂庵(じゃくあん)」は、彼女の活動の拠点であり、全国から生きづらさを抱えた人々が集う現代の駆け込み寺となった。定期的に催される法話には数千人のファンが押し寄せ、その笑顔と言葉に多くの人々が涙を流した。
同時に、日本文学界における金字塔となったのが『源氏物語』の現代語訳全10巻の完結である。平安王朝の官能と無常観を、現代の息吹をもって蘇らせたこの大事業は、講談社をはじめとする出版界に多大な衝撃を与えた。夜を徹して原稿に向かう姿勢は90歳を超えても衰えず、執筆こそが彼女にとっての生涯をかけた「行」だった。