中庭が繋ぐ絶妙な距離感、平屋二世帯のコの字間取りに潜む盲点

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だが、コの字型最大の見せ場である中庭(パティオ)には、建築現場でしか語られない落とし穴が存在する。最も頻出するトラブルが「ガラス越しの見つめ合い」だ。日当たりを確保しようと両世帯のリビングに大開口の窓を対面で設けた結果、カーテンを四六時中閉め切らざるを得なくなったという笑えない失敗談が後を絶たない。

取材に応じた一級建築士は、設計時の致命的なミスについてこう警鐘を鳴らす。「平面図を見ていると中庭が広い空間に見えますが、室内に入ると視線は自然と対岸の窓へと一直線に伸びます。親世帯がくつろいでいる姿や、子世帯の散らかったリビングが丸見えになってしまっては、せっかくの開放感が台無しです」。窓の位置を上下左右に意図的にずらす、植栽を視線遮断のスクリーンとして配置する、あるいはフロストガラスや木製ルーバーを巧みに配するといった緻密な視線設計が欠かせない。

もう一つの盲点が「反響音」と「水はけ」である。三方を外壁と窓ガラスで囲まれた中庭は、構造的に音が反響しやすい。夜間に中庭で子どもが遊ぶ声や足音、あるいは雨音が両翼の寝室にダイレクトに響き渡ることがある。また、豪雨時の排水能力が不足していれば、中央の窪みが一時的なプールと化し、床下浸水のリスクを引き起こす。中庭専用の大型排水マスの設置やオーバーフロー管の設計など、見た目の美しさに隠れた土木的配慮が不可欠となる。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

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