世界一・日本一の長い名前の真相!ピカソやギネス記録の背景を徹底解剖
世界一長い人名として真っ先に引き合いに出されるのが、20世紀を代表するスペインの巨匠パブロ・ピカソです。私たちが普段口にする「パブロ・ピカソ」は極端な省略形であり、洗礼名を含めたフルネームは以下の通りです。
「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・シプリアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」(Pablo Diego José Francisco de Paula Juan Nepomuceno María de los Remedios Cipriano de la Santísima Trinidad Ruiz y Picasso)
文字数にして実に100文字以上におよぶこの名前に対し、「親が悪ふざけをしたのではないか」と勘違いする人は少なくありません。しかし、ピカソの本名が長い理由には、当時のアンダルシア地方における敬虔なカトリック信仰と伝統的な家族制度が深く関わっています。スペインの伝統では、子どもを守護してくれる聖人の名前(洗礼名)をいくつも授ける習慣があり、さらに父方の家名「ルイス」と母方の家名「ピカソ」、さらには祖父母や親戚の有力者の名前を連ねることで、一族の絆と神の加護を二重三重に祈願した結果、これほどの長大ネームが完成しました。
ところが、世界はさらに広大です。ギネス世界記録に「世界一長い人名」として公式に認定された記録保持者は、ピカソの長さを文字通り桁違いに凌駕しています。その人物こそ、通称ヒューバート・ウォルフシュレーゲルスタインハウゼンベルガードルフ(Hubert Blaine Wolfeschlegelsteinhausenbergerdorff...)、あるいは「ウルフェ+666シニア」と呼ばれるドイツ系アメリカ人の男性です。
世界一長い人名の読み方を紐解くと、ファーストネームだけでもアルファベットの「A」から「Z」までの26文字を頭文字とする26個の名前(Adolph Blaine Charles David Earl Frederick Gerald Hubert Irvin John Kenneth Lloyd Martin Nero Oliver Paul Quincy Randolph Sherman Thomas Uncas Victor William Xerxes Yancy Zeus)が連なっています。さらに圧巻なのはラストネーム(姓)で、単語1つの中に実に590文字以上のアルファベットが隙間なく結合されています。本人の生前の手記や関係者の証言によると、この異様な姓は18世紀に祖先が創作した「祖先の歴史や誇りを語り継ぐ物語そのもの」を意味しており、ギネスブックの個人名部門において長年アンタッチャブルな金字塔として君臨し続けています。
一方、日本国内に目を向けると、明治時代の戸籍制度創設期に「日本一長い名前の実在例」として語り継がれる人物が存在します。山梨県や静岡県の旧家記録、あるいは明治期の公文書には「野田江奈何七無二左衛門(のだ えなかななむにざえもん)」や、落語の寿限無にあやかって命名された「燕石勘太郎寿限無寿限無…」といった長大な戸籍登録が複数確認されています。明治政府が平民苗字必称義務令を出した際、名付けの厳密な制限がなかった混乱期に、一種の願掛けやユーモアとして届け出が受理された名残と考えられています。